ギリシャ救済のための負担

南欧諸国への巨額の支援に国民の不満は大きいが、一方でユーロ体制によって最大の恩恵を受けているとも言われるドイツ。ユーロ維持に向け、難しい舵取りを迫られている。ギリシャ問題によるユーロ崩壊は世界的な経済危機へと発展しかねない。世界中がいま、ギリシャ危機とユーロの行方を見守っている。FX投資家必見の内容。

ギリシャ救済のため民間負担をどう求めるか

ギリシャの政策実行力の限界、EUの支援の制約が強まったことから、6月14日のユーログループでは追加支援にあたって民間投資家の負担を求めることで一致。焦点は「どのような手法」を用いるかにうつった。EUが民間負担について協議していることを認めたのは5月のユーログループの後。ユンケル議長、欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は、民間負担を国債保有者の自発的同意の下で元本削減や金利の引き下げは行わずに返済期限のみを延長するものとし、元本削減などの強制的な措置を採るつもりはないと明言した。返済期限延長の1つのモデルが09年の中東欧の金融危機の拡大防止に貢献した「ウィーンーイニシアチブ」。満期を迎える国債の借り換え、いわゆるロールオーバーに金融機関が自発的に応じるというものだ。

 

もう1つのモデルは債務交換による7年間の償還期限延長。危機国への最大の支援の出し手であり民間負担の議論を主導してきたドイツのショイブレ財務相が6月6日付でトリシエECB総裁やユーロ圏の財務相らにあてた書簡で提案したとされる。

 

ギリシヤ国債はついに「CCC」

 

ロールオーバーと債務交換の大きな違いは債務不履行(デフォルト)と見なされるか否か。主要格付け機関は揃ってギリシヤ国債を投機的水準に格付けしているが、民間負担の可能性が高まったことに対応し、ムーディーズは6月1日にギリシヤの格付けを「BI」から「Caal」に3段階、スタンダード&ファース(S&P)は13日に「B」から「CCC」に同じく3段階引き下げている。ギリシヤが追加の財政再建策で超党派の合意を実現、民間負担が自発的なロールオーバーとどまれば国債の格付けは現在の投機的水準に辛うじてとどまることができそうだ。しかし、ドイツ案の債務交換が実施された場合には、デフォルト格付けに引き下げられる可能性が高くなる。

 

ECBは、金融システムの危機を招くとの理由から債務再編に一貫して反対しており、6月9日の政策理事会の後の記者会見でもトリシエ総裁は「デフォルトに該当する民間負担の回避」を求める姿勢を強調した。デフォルトの場合、ECBが資金供給の担保としてギリシヤ国債を受け入れることができなくなり、ECB頼みのギリシヤの銀行システムが立ち行かなくなるおそれがある。

 

その一方、トリシエ総裁は「真に自発的で強制的要素がないものであれば排除しない」とも述べ、債務交換は受け入れられないものの、ロールオーバーは容認することを示唆した。ユーロ参加国で債務再編に反対の立場をとってきたフランスもロールオーバーであれば受け入れる方向。債務交換というより踏み込んだ措置を求めるドイツなどとの調整が、6月20日のユーログループでの追加支援問題決着の鍵を握っている。

 

現時点では、デフォルト回避の立場から、ロールオーバー案を採用する可能性が高まっているが、返済可能性への不安が高いギリシヤ国債の自発的な残高維持を促すには、相応のインセンティブが欠かせないだろう。ユー・ログループでの調整の結果、どのようなスキームで民間負担を求めることになるのか、そのスキームを格付け機関が評価するのか、ECBがギリシャ国債の担保としての適格性をどう評価するのかによって経済・金融市場に及ぼす影響が変わってくるだけに注視が必要だ。